※最終更新日 2023年2月27日
Swimming.jpでは、うねりの大きいバタフライを推奨していますが、今回は「フラットバタフライ」について解説していきたいと思います。
競泳では、バタフライを泳ぐ際「うねらない」でできるだけ上下動を少なく泳ぐ方が効率が良いとされています。それが「フラット」という訳ですが、これには条件が存在します。
① スピードが速い事。
② 腰の位置が高い事。
この2つの条件が揃ってこそ、フラットバタフライが活きてきます。2はスピードが速ければ高くなるのですが、泳ぎがうまい人は少しスピードが遅くても腰を高く保てる方がいらっしゃいます。
管理人の感覚では、25mのタイムであれば16秒以内、腰を高く保てる方で18秒以内で泳げる方は「フラットバタフライを取り入れてもいいのでは?」と考えています。
アスリートと中級者のフラットバタフライの違いについて詳しく見て行きましょう。
バタフライでは、アクアスキッパーのように、上から水を押し込む原理で体重移動で進んで行く事は解説しましたが、できるだけ高い位置から体重移動ができる事が理想になります。
もし、25mを15秒で泳ぐ方と30秒で泳ぐ方を比較すると、30秒かかってしまう方の腰の位置は必ず低い位置になります。
以下のアニメーションはAが中級者、Bはアスリートの泳ぎになり、赤いラインは体重移動に移る直前(31コマ目)の体の深さを男性水着の紐を結ぶ位置を基準に表しています。
また、黄色い帯はアニメBの上半身が水中に最も潜る位置までの縦幅で、ABどちらも水面からの幅は同じになっています。
これを見てわかるのは、アニメBは31〜1コマ目の6コマで体重移動が行われるのに対し、アニメAは35〜36の1コマしか体重移動が行われていません。
体重移動でアニメBのように腰の位置が肩の位置より高くなっていると、肺にたくさん息を吸っている状態であれば、軽くストロークするだけで、テコの原理で上半身が自然に水面に浮いてきます。
アニメーションを見てもBは動きがとても滑らかで自然に浮き上がる勢いを使って呼吸をしています。
また、スピードが出た状態で12〜31コマ目付近まで水が体の下を通過するので、モーターボートのような浮力を受けることもできます。これにより、自分で体を持ち上げる力を少なくできストロークも前に進む方向に集中できます。
逆にアニメAでは、水面から自分の力で身体を持ち上げているのが上半身の動きを見てもお分かりになると思います。ストロークも「持ち上げる+前に進む」の2つを同時に行わなければならなくなるので、かなり非効率で疲労度が高い泳ぎになってしまいます。
人間は無意識に呼吸を第一に考えてしまうので、このように自分で体を持ち上げる意識が大きくなりますが、それによって体が立ちやすくなり、上半身に水が当たる面積が増えて抵抗が大きくなってしまう訳です。
アニメBでは腰の位置が高いので、フィニッシュ時(21コマ目)に手が既に水面に出てきているので手を前に戻すリカバリーも反動で楽に戻す事ができます。逆にアニメAでは、フィニッシュで手が水中に残っているので、無理に腕を水面に上げる努力をしてから前に戻さなければなりません。
このように、アニメAとBには大きな違いがあり、その差がスピード、タイムになって現れてくるのがお分かりになると思います。
スピードがない状態でフラットバタフライを目指してしまうと、「体重移動で進まず、自分の力で体を持ち上げ、それによって体が立って抵抗になりスピードを落とす」という悪循環に陥ります。
バタフライのレベルアップには体重移動は避けて通れない道になりますので、アニメAでは、腰の位置よりも深く水中に体を押し込んで進んでいく練習をする方がバタフライ上達への近道になります。
また、そのような基礎的な練習を続ける事で、バタフライに必要な筋力が自然に身につき、上達後にも使える土台となると管理人は考えています。