※最終更新日 2023年2月16日
皆さんが世界チャンピオンの泳ぎを見る機会というのはオリンピックなどの世界大会で最もスピードを出して泳いでいる場面ですが、実際に練習の中でトップスピードで泳ぐのはシーズンによっても違いますが、多くても平均1〜2割程度です。
練習中、全てをトップスピードで泳げば疲労が大きく休み時間を長くとならなければなりません。もし100mのベストタイムが1分00秒の方が、5分サークル(4分休憩)で4000m泳ごうとすれば、それだけで3時間20分かかります。アップとダウンを含めればもっと長くなりますし、通常の選手の練習は2時間程度で5000m以上泳ぐ訳ですから、ある程度スピードを抑えて反復練習しているというのが分かります。
よくプールでいきなりダッシュされる方を拝見しますが、そんな風に泳いだりはしませんので、アップはゆっくり関節の可動域が徐々に広がるように練習していきましょう。
今回は初級〜中級者向けに、世界チャンピオンがゆったり泳ぐ3D(イージースイム)も作成致しました。最後の項目で世界チャンピオンの泳ぎを日頃の練習でどのようにイメージし活かして行くのがいいのかを含め、解説させていただきたいと思います。
全てを一気にご覧になると、要点が分かりにくいかもしれませんが、「ストローク」「キック」「タイミング」「イージースイム」と一つ一つが要点となっており、全てが連動しているので1つの記事にまとめさせていただきました。
何度もご覧いただいて、トップスイマーの泳ぎをご自身の泳ぎに還元していただければと思います。
1. 泳ぎの特徴
この選手の泳ぎの特徴はストロークと体幹の使い方にあると感じています。彼のYoutubeチャンネルを見ると分かりますが、上半身は格闘家のように鍛え上げられています。
ストロークは腕が伸びていて深い位置まで掻いていたり、身体を前に倒すスピードが他の選手に比べて速いです。これをそのまま一般の方がやってしまうと、負担が大きく怪我をしやすくなる場合もあります。
2. 平泳ぎ ストローク
2-1. ストロークの特徴
ストローク前半で腕が他の選手よりも一直線に伸びています。4〜6コマを見ると、若干肘は立っていますがここでも意外に真っ直ぐであることがわかります。
7〜8コマ目で外側に開いた手が内側に向かっていく「インスイープ」に変わり、およそ2コマ、0.13秒という時間で水を掻き込んでいるわけですが、この動作がほぼスカーリングであるように見えます。
この3Dを作成する際に参考にした映像を確認すると、カメラは等速で動いていると思うのですが、この7〜8コマ目の深い位置から胸の方にむかって手を引き寄せている時に「グッ」と前に進んでいるのがわかります。
手を前に戻すリカバリー動作に入る時には、8〜10コマ目を見ると、この時点でスカーリングが身体を倒しながら前に進む方向に変わります。
この部分が他の選手と大きく違い、体幹の強さも相まって身体を倒す時間が短くなるようなストロークをしています。
2-2. 初級〜中級者の注意点
4〜6コマ目のような腕を真っ直ぐにした動きを一般の方がやってしまうと、肘への負担が大きいですし力みやすく、怪我のしやすい動作になってしまいます。
分かりやすく例えると、筋力のない方がいきなり腕立て伏せを3本指でやってしまっているのと一緒で、それでは泳ぎを継続していく事も難しいので、自然な形で力が入るハイエルボーするようにしましょう。
平泳ぎのストロークについては、以下で詳細解説させていただいております。
ストロークの教え方・泳ぎ方
ここでは子供に教えるストロークとして解説していますが、大人の初心者の方も基本的には同じになります。まずは理想のプル動作とストローク各部の名称を簡単に解説させていただきます。
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