※最終更新日 2022年6月29日
水泳をされている皆さんの多くは「綺麗に泳げるようになりたい」と思われていると思いますが、管理人は何年かのスパンで色々なプールに通ってきて、正直なところ「ずっと泳ぎが変わっていない人が多い」と感じて来ました。
これまでの記事や動画の中で理想の泳ぎ方について解説してきましたが、最も早く泳ぎのフォームを「綺麗」にするために、フォーム改善方法だけでなく、水泳というスポーツの特徴など知っておいて頂きたい部分を以下の5つの項目にまとめ解説して行きたいと思います。
1. プールでは「速く泳ぐ事が理想」だと思っていませんか?
2-1. スタートのスピードを泳ぎに使う
2-2. スピードがある方がフォームが整えやすい
3. 実際のフォーム改善方法
4. 泳ぎのセンスとは?
5. 指導者によるドリルの使い分け方
1と2で相反する項目になっていますが、その理由も詳しく解説して行き、最後に指導者がフォーム改善のため行うドリル練習をどのように使い分けているかを解説させて頂きました。
プールで一般の方の泳ぎを見ていると、ピッチを速くしてしまい、アニメーションCのようなガチャガチャした泳ぎをする方が非常に多いと感じています。プールに入っていきなりダッシュされる方もいて、その水しぶきに周りがびっくりしているのを何度も見たことがあります。
どうなんでしょう。多くの方はテレビで競泳競技を見ているので、無意識に「水泳=競泳」という誤った認識を持ってしまっているのかもしれません。競泳のトップ選手というのは、200m程度の距離を全力で泳ぐのでピッチが速い訳ですが、健康を考えて泳ぐのであれば、ゆったりと泳いだ方が優雅に見えます。
泳ぎの上手い人がプールサイドから闇雲に手を速く回している人が全く進んでいないのを見るのは「非常に残念な感じ」に見えてしまいます。
実際に、そういう方は速く手を回して泳いだ時と、ゆったり泳いだ時のスピードに変わりはない場合が多く、頑張っても25mを20秒前後で泳ぐのが精一杯です。その理由として、全身が力んでいて力を抜くところが全くない状態でのストロークになってしまうからです。
こういう泳ぎをする方は陸上に上がってから体の倦怠感が大きくなります。力が入り過ぎる事で肺も小さくなってしまい、十分な呼吸ができず、酸素を体に取り込む事もできなくなってしまうからです。よって、水泳=とても疲れる(疲労度が高い)という一般の方が持つ水泳のイメージ通りの印象が残ってしまいます。
管理人などは週1回4000m程度を続けて泳いでも心地のいい疲れを感じる程度です。もし速く泳ぎたいのであれば、まずはゆったりと肩から腕を大きく回し良い姿勢を維持して25mを楽に20秒程度で泳げるようになってから、スピードのある泳ぎを目指していただければと思います。
一般の方は「綺麗に泳ぎたい」と同時に「速く泳ぎたい」という思われている方が多いように感じています。もし、ゆったり泳ぎたいだけなら、蹴伸びができなくても「そこに浮く事(浮き身)」ができれば、泳ぎ自体は簡単にできやすいと感じています。
ただ、競泳選手のような綺麗な泳ぎを目指すのであれば、ある程度のスピードがあった方が綺麗なフォームを固定しやすいですし、何より管理人の泳ぐ理由である「水が体を通り抜けていく時の心地良い感覚」を得る事もできるので、蹴伸びでできるだけ遠くに姿勢良く進む事ができるようになっていた方が上達の速度も上がってきます。
例えば皆さんが自転車に乗った時、ハンドルができるだけ動かないように一直線に走る場合、ゆっくりよりも速度が速い方がハンドルが安定すると思います。それと同じで水の中でもある程度速度が速い方が体が安定するわけです。
初級者の頃はスタートで壁を蹴るのが上手くないので、壁を蹴った瞬間に大きな抵抗を受けて失速してしまい、そこから無理にスピードを上げようとして全身が力んでしまいます。
意外に感じるかもしれませんが、ビート板を持ったキックでもダッシュをすれば管理人でも現役当時25mで15秒を切れていたので、スタートの勢いにうまく乗りながらキックだけで20秒で泳ぐ事もそれほど難しい訳ではないわけです。
基本的にキックは「ストロークに合わせてタイミングよく打つ」というのが一般的ですが、上級者は「キックに合わせてストロークする」と言う練習もおこないます。ドリル練習でもプールの半分までキック、半分からスイムと言う練習があると思いますが、この練習はキックのリズムを25m崩さずに泳ぐのが目的で、それにストロークを添えているので「キック主導」であるわけです。
初級者の頃は足と手を同時に動かすと同じテンポでキックを打つ事が難しいですが、このような練習を重ねる事でもゆったり綺麗に泳ぐ事ができるようになって行きます。
もし足首が固く、キックがどうしても速くならないという方でも、スタートから浮き上がりまでのスピードを落とさなければいいので、全く心配はいりません。
結局、管理人が言いたい事は、自転車でも止まった状態から速度を上げるためには立ち漕ぎをして大きい力を使い速度を上げます。でもある程度の速度が出たら、それほど力が要らずにペダルを漕ぐ事ができ速度も保てます。この自転車が速く進んでいる時と同じ状態を水中でも維持して楽にストロークをしながら進んで欲しい訳です。
蹴伸びは初心者の頃教わりますが、泳ぎの基本であると同時に「高い泳速を維持するため」に非常に重要な要素になります。なぜなら、水泳はオリンピック選手であったとしても「壁を蹴った時が最も速度が速い」ので、「できるだけスタート時の速度を落とさずに泳いでいく」のが最も効率的で、目指していく道筋であると感じています。
泳ぎのフォームはバタフライを考えていただければ分かりやすいですが、スピードが遅すぎると勢いもないので完璧なフォームが必要になってしまいます。ある程度スピードがあれば前からの抵抗が大きくなるので、急ブレーキがかかったのがわかりやすく、できるだけ抵抗がないように泳ぐ環境が強制的に出来上がります。
よって、スタートのスピードを活かすのはとても大切になるのですが、指導現場ではスタートがうまく出来ない人が入会してきた時に、スタートの練習ばかりしてしまうと、以前からいらっしゃる方が「泳ぎを教えてもらいたい」となってしまうので、皆さんのニーズに合わせて泳ぎを教えていると言うのが現状です。
ゆえに、泳ぎの要所要所でスタート練習を少し挟む程度で、本来必要な練習量を補うことが出来ていない訳です。ただ、その分をご自身で練習することは可能であると思いますし、もし1000mを週2回泳ぐ人であればスタート・ターンで1日40回の練習ができ、月換算で320回、年間ですと3840回の練習ができます。
もし、この4000回近くのスタート・ターンを意識して練習することができれば、半年(2000回)でも確実に成果が出て、スタートの技術が泳ぎの技術(フォーム改善)にも活きてきます。
一般の方が泳ぎ始める時、壁をゆっくり蹴ってスタートする方がほとんどですが、綺麗に泳ぐための一番肝心な部分を最初から手放してしまっている事になるので、ぜひ意識して練習して頂きたいです。
これは、泳ぎが上手くなっても「もっと速くスタート・ターンできるのでは?」と感じる部分でもあるので、管理人にとっても永遠の課題となっています。まずはスタート・ターンで「しっかりと壁を蹴られるようになる事。」を目指して練習していきましょう!
スタート・ターンについては「スタートが上手いと泳ぎも上手くなる」「スタートが上手いと泳ぎが上手くなる理由」「クロール タッチターン <前編> 横向きで沈めますか?」「クロール タッチターン <後編> 最も重要なタッチ」「クロール タッチターン<完結編>動画比較」をご覧いただいて、スタート・ターンのスピードを泳ぎに活かせるようになりましょう!