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Swimming.jp クロール Technique

クロール フィニッシュとストローク数

※最終更新日 2023年5月21日

今回はクロールのフィニッシュとストロークの数について、綺麗で楽に泳ぐためにはどれくらいの力でフィニッシュをしているのか。また、上級者のようにストローク数を少なく、大きく泳ぐためにはどんな事に気をつければいいのかを解説していきたいと思います。

泳法習得時のフィニッシュと理想のフィニッシュの違い

初級者の場合、腕が曲がってストロークが短くならないよう、以下のアニメーションAのように「腕を伸ばして」練習します。この時は綺麗に大きく泳ぐことが目的になるのでストロークのスピードも遅いので最後まで掻き切るのが理想ですが、上級者になるとちょっと変わってきます。

 

以下のアニメーションBを見ていただくと、キャッチ付近の18コマ目から徐々に加速して行き、23コマ目あたりで最高速に達します。その時点で体も最高速で進んでおり、手の周辺にある水は後ろに動いているのでその水を押すのではなく、フィニッシュ付近の24〜1コマは、腕を水面から抜くイメージを持った方がエネルギーの節約につながります。

 

皆さんは手漕ぎボートに乗った事はあるでしょうか。もしオールを船にぶつける位力強く漕いだとしても、さほどスピードに変化はないと思います。それよりも、ある程度スピードが出た時点でオールを前に戻した方がスムーズに漕ぐ事ができます。

水泳でも後ろに掻きすぎると体の揺れの原因になったり、水から出た手が振り上げられると体がブレないように体幹でそれを押さえ込まなければいけなくなります。そもそもフィニッシュは下から斜め上方向へストロークするので、体を沈める動作にもなってしまいます。なるべく体が浮いている方が水と接する面積が少なくなるので抵抗が少なくなるのは皆さんもお分かりの通りです。

それでも23コマ目まで腕が加速していれば、最後まで掻き切っているように見えてしまうかもしれません。このように「自分では手を水面に抜いているつもりでも、結果的に最後まで掻き切っているように見えるまで」が理想のフィニッシュであると管理人は考えています。

また、前回の「クロール キャッチアップはなぜ必要?」で解説したように、リカバリーをXの高い位置から落とす事ができれば、腕が水圧に負けないように形を固定するだけで肩のローリングに合わせてエネルギーを節約しながらフィニッシュ動作ができるので、その点も意識しながら練習していただければと思います。

ただし、初級者の方がこれを意識してしまうとアニメーションCの23コマ目付近で肘がもっと曲がってしまい、ストローク自体が短くなって本末転倒となってしまいますので注意が必要です。上級者とは逆にご自分でしっかり大きなストロークができていて、かつ、楽に25mを20秒程度で泳げるようになってからフィニッシュについて考えていただければと思います。

 

「掻き切っているように見えるまで」とは?

「まで」という事は「それよりも短いストロークでもいいの?」と思われた方もいらっしゃると思います。これは泳いでいる人の特徴にもよると考えているからで、例えばピッチが速い人と遅い人とを比べると、ピッチが速い人の方がストロークの力が弱いので、経験上水面に手を抜きやすいく、少し後ろ側まで掻くイメージを持ってもいいと感じるからです。

ストロークだけでなく複合的な要素が関係してくるので、詳しく解説すると非常に長くなってしまいます。ここでは「23コマ目付近で一番進むと感じ、リカバリーにスムーズな移行できる場所で水面に抜く」ようにしましょう。

結論

初級者〜中級者(ゆったり泳いで25mを21秒以上かかる方)
アニメーションAのように、しっかりと腕を伸ばし大きな円を描くようにストロークする。

中級者〜上級者(ゆったり泳いで25mを20秒以内で泳げる方)
前後にしっかり腕が伸びるようになったらフィニッシュを頑張り過ぎず、アニメーションBのように掻き切る前に手を水面上に抜くイメージを持つ。結果的に掻き切っているように見えるのは可。

ただ、複合的な要素で理想フィニッシュには前後幅があるので、ご自身が一番進む理想の抜き場所を探して行きましょう。

ストロークについては「押さえとキャッチのテクニック」を見ていただいて、フィニッシュ前にしっかりと水を掴む意識を持ちましょう。


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